飛騨高山旅行記② 平湯その一

2022年11月15日

念願の高山の地に降り立ったオレ。感激のあまり高山の地面にキスをしそうになったが、新穂高行きのバスの出発時刻が迫っていたのでやめた。高山濃尾バスターミナルで平湯行きのチケットを購入し、いそいそとバスに乗り込む。後で知ることになるのだが、往復で券を買った方がお安く済むようだ。無念。今回の旅はアニメ「氷菓」の聖地巡礼を兼ねているのだ。だから、風邪をひこうが、大地が裂け空が落ちてこようが、オレは平湯温泉に行かねばならぬ。ちなみに氷菓とは、高山市出身の直木賞作家であらせられる米澤穂信氏の同名の小説を原作とした、青春ミステリ作品である。京アニが2012年に制作したオーパーツ的アニメなのだが、未だにどのアニメランキングでも上位に食い込む程の人気を誇る神アニメである。観てない諸君はこの記事を読んだ後すぐに観るべし。無論、読みながら観ても構わない。

10年前のアニメとは思えないほど作画がいい。
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バスに揺られて約一時間半、山を越え谷を越え山奥へと進む。飛騨山脈が眼前に迫った頃、下車した。ここは平湯温泉バスターミナルの一駅手前、大滝口だ。平湯に行くなら飛騨三大名瀑の一つに数えられる平湯大滝は外せない。秋刀魚を食べる時の大根おろしと同じぐらい、外せない。大滝へ続くスキー場の脇道を歩いていく。この時は夏なので、斜面には山羊らしき偶蹄目が草を食んでいた。一キロほど登ると、駐車場に着く。そして遠くには大滝が。どうやらもっと近くまで行けるようだ。先に来ていた家族連れの後をついて、舗装されてない道を進む。滝の真下とはいかないが、その威容を拝める距離まで近づいた。平湯大滝、落差64メートル、幅6メートルの堂々たる瀑布である。轟音と共に舞い上がる水しぶきが、強い日差しに晒される我々をひんやりと包み込む。かつて飛騨の国に攻め込んだ武田軍の兵士が山中で迷い、平湯大滝を眺めて途方に暮れていると、滝口から白猿が下りてきて彼らを平湯温泉まで案内したという伝説が残る。それが平湯温泉開湯の由緒だとか。ぼんやりと大滝を眺めていると、今にも白猿が滝の上から顔を出すんじゃないかという気がしてくる。

滝を堪能したオレは、メインディッシュの平湯温泉に向かうべく歩を進める。5分ほど歩くと平湯の温泉街が見えてきた。氷菓のワンシーンで使用された温泉は平湯民俗館という施設にあるそうだから、スマホのマップ機能を利用し方角を定めて歩き出す。

民俗館に着くと、合掌造りの古民家が出迎えてくれる。その奥にお目当ての温泉施設と休憩所が見えた。入浴施設の外観はアニメとやや異なっているところもあるが、それでもその再現度の高さには驚かされる。かなり丁寧な取材をしたのだろう。

どうやら入浴するには300円程度の寸志が必要らしい。300円「程度」と書いてあるのが、どこかつつましい感じがしてよい。温泉の維持清掃の使われるのだそうだ。そういうことなら協力せねば、と銭受けに小銭を入れた。中に入ると案外人がいた。オレも入れて7,8人といったところか。地元民らしきおっちゃんも紛れていたが、観光客のほうが多い印象であった。脱衣所と湯舟しかない、簡素なつくりだ。流れるような所作で全裸になり、タオルをひっつかんで意気揚々と湯船に進水した。湯加減は最初は熱いと感じたものの、すぐに慣れて肩まで浸かった。鉄の香りが鼻をつく。黄土色の湯を掬って顔に近づけると、こう、なんというか、まさに逆上がりをした後のあの匂いであった。ちなみにアニメに出てきたケロリン桶もしっかりあった(ふちが少し欠けていたが…)。

湯船の上をちょうど覆うように木が生えており、今日のような晴れた日は、木漏れ日が我々を照らす形になるので心地よい。温泉は夕方に入るのが王道だと勝手に思っていたのだが、昼も存外悪くない。飛騨の山奥で温泉と自然を堪能する、そんな至高の休日。オレたちが求めているものはここにある、そんな気がする。そう感傷に浸っているかのように見せかけて、オレは時が満ちるのを待っていたのだ。他のヤツらがのぼせる前に浴場を後にするのを、だ。最後の一人が出ていくのを見計らって、オレは勝利の舞を舞った。これぞフィーバータイム。大勢で入るのも和むが、やはりひとりで湯舟を独占しているときはカクベツなのだ。だが、小さな勝利もつかの間、戸を開く音が静寂を破る。新たな王の出現により、平湯の旧支配者はすごすごと退場したのだった。

風呂上りは実に気分がいい。駆け抜ける爽快感、解放感と言ったら、他の何物にも代えがたいものがある。鼻歌の一つでも歌ってやりたい気分だッ。天に昇るようなステップで(事実天に昇りかけていた)食事亭「禄次」に入る。店内には囲炉裏のあるテーブル席があり、物数奇なオレは迷わずそこに陣取る。メニューを開くと、肉料理の数々が目に飛び込んできた。飛騨牛の各種料理、豚に鶏なんでもござれである。酒まで揃っていた。懐具合から言って初日から散在するわけにはいかぬから、豚か鶏に絞られるワケだが(それでも1000以上する)、飛騨人の郷土料理「けいちゃん定食」(鶏)か、地元人気の「とんちゃん定食」(豚)か迷いどころだ。結局とんちゃんに決めた。

飛騨高山旅行記③につづくッッ

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感想(7件)
飛騨古川の渡辺酒造の濁り酒。アルコール度数は日本酒と同じだが、とっても甘いので日本酒が苦手な方にもお勧めだぞ!