中山道をただ歩くだけのブログ 上尾宿~桶川宿その二

今日の気温は20℃まで上がるらしい。まだ9時台だったが、もうすでに暑くてじっとりと背中が汗に濡れていた。これ以上汗をかくのは嫌なので着ていたパーカーを脱いで半袖になった。だいぶ涼しい。鴻巣を過ぎるまで旧中山道は国道164号線と一致しているようなので、しばらくは地図を確認しなくて済みそうだ。北西酒造を過ぎてからは特に何も目を引くものはなかった。数えきれないほどの車に追い越されながら進む164号線には、中山道の面影を残すものはない。大きな駐車場のついたファミレスやカフェがあるだけである。

中山道を示すものが何もなかったので、道しるべを見つけただけでほっとした。

上尾宿と桶川宿の間は短い。大体4㎞ほどしか離れていないらしい。上尾を発ってから一時間弱ぐらいで桶川宿に到着した。

家でコーヒーを飲んでから出発し、水をグビグビ飲んでいたオレの尿意は限界に達してしまっていた。どっかのコンビニのトイレを借りればいいやと考えていたオレは、上尾近辺にはたくさんあったコンビニが見つからず、かなり焦っていた。コンビニと自販機は必要なときに限って見つからない。ナジェダ、ナジェダ、ナズェダー!だが、世の中はうまくできている。まさに吉祥、天から垂らされた蜘蛛の糸のごとく公衆便所が姿を現した。オレは喜びのあまりそのまま漏らしそうになりながら便所に駆け寄った。すると便所の前のベンチにグラサンをかけた強面の爺さん(なぜかグラサンに器用にマスクを引っ掛けていた)が超然と佇んでオレを見ている。オレは違う意味で漏らしそうになりながら便所に駆け込んだ。用を足して出てくると爺さんがこちらをじっと見ている。もう漏れる心配はないのでそのまま立ち去ろうとしたら、爺さんが口を開いた。「オメ、半袖で寒くないんか」思ったよりフレンドリーだぞ、この人。「いやあ、むしろ暑いっすね」と答えると、元気だな、と爺さん。そのあともしばらく色々話していたが、爺さんがマスクをどうやってグラサンに引っ掛けているのかが気になりすぎて殆ど頭に入ってこなかった。

んじゃ、気いつけてな、と声をかけてくれたのでオレたちは別れた。一応桶川宿の史跡について紹介しておく。武村旅館という古い建物を見つけた。江戸末期に創業した国の登録有形文化財であるらしい。

武村旅館

意外と桶川宿は古い建物が残っている印象だ。江戸時代の人々は日本橋を発ち、ここ桶川宿で泊まる人が多かったようだ。では、次の鴻巣宿まで行ってみよう。